毛先保湿

投稿日:2012/09/27
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秋らしくなってきたのをいいことに、久しぶりに温泉に行きました。
ほどよく込んだ浴場内では、ちらほら洗い場が埋まっています。
空いている所を見つけ、腰を下ろそうとした時に、
流し台の隅にお風呂セットが置いてありました。
マジマジ見た訳ではありませんが、パッと見5〜6本くらいの
何かがプラスチックのバスケットに納められていました。
私の場合、無ければ無いで石鹸ひとつですべて事足りるようなヤツですので、
この5〜6本の何かを己に使うことの情熱は分かりかねる部分があります。
そんな訳で、そのバスケットの横に洗い場を陣取りました。
しかし、バスケットの主はなかなか現れず、
私が全てを洗い終え、付近をきれいにしている時にパッと見ると、華奢な男が座っていました。
「いつの間に・・・」
そいつの後ろを通り過ぎる時にチェックすると、長めの髪を垂らしながら、
一生懸命洗髪をしていました。
湯船につかり、5人に2人はかけ湯なしでズカズカ入ってくる爺さんに
苛立ちを覚えながら、爺さんの股ぐら経由で湯を浴びた気持ちになった身体を
とりあえず流そうと再度洗い場に行くと、
バスケットの主は、バスケットを残して消えていました。
浴槽内にも露天風呂にも長い髪の奴はいません。
露天風呂に行き、秋の気持ちいい風を感じながらトロミのある湯を満喫しました。
内湯に戻りふと見ると、バスケットの主がまた舞い戻ってました。
先ほどと同じく、一所懸命髪に何やらしています。
コチラは湯に浸かり、疲労を感じている足をもみほぐします。
思い出してパッと見ると、バスケットの主はまた姿を消してました。
当然、内湯にも露天にも長髪の奴はいません。
「きっとサウナだな…」
バスケット男はサウナと洗い場を行き来し、なぜか髪の手入れをかかさない入浴方法をとります。
その入浴スタイルに若干の恐ろしさを感じつつ、
無神経な爺さんたちの入浴行為に苛立ちを覚えつつ、
「いい加減もう出よう」と再々度洗い場に行き、身体を流しました。
気付けばバスケット君がまたササッと舞い戻っていました。
今度は、長い髪をティモテ風にトリートメントしている様子でした。
結局最後までバスケット野郎の顔は、確認できぬまま浴場を出ました。
ロッカー前で扇風機にあたったり、体重を量ったりしながら張り込みましたが、
いつまでたってもバスケット野郎は出てきませんでした。
「排水溝に流された抜け毛の霊」だったのかも知れません。


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