蜂達退治

投稿日:2013/10/07

ふらっと実家へ寄ると、母親が青ざめた顔をして立っていました。
理由を聞くと、「蜂退治をしていた」と言うのです。
どうやら庭の松の木に、まさに今から巣を創る体制で、
無数の蜂が蜂の巣型に絡み合っている現場に遭遇したらしく、
『ギギャーッッ』と悲鳴をあげた所、
たまたま栗拾いの土産の栗を届けに来た隣のおじさんが駆け付けてくれました。
栗を投げ出したおじさんは、蜂の巣型の蜂達に、
厚手の土が入っていたナイロン袋を下から被せて、
紐で口を縛って、そのまま袋に閉じ込めたんだそうです。
蜂に刺されて退散したおじさんは、針を抜きに帰ってしまったそうで、
その後は彼女が、別動隊の残りの蜂にめがけ、
両手で二缶のキンチョールを乱噴射し、
季節外れの蚊取り線香を松の木にくくり付け、
袋の中でヴワンヴワン暴れて、脱出を試みる本隊に三本目のキンチョールを、毒ガス方式で注入し、
あらかた死滅させた時に、私がふらっとやってきたとの事でした。
袋の中には、動かない蜂が三百匹ぐらいいました。
何故か温かく、最期に相当足掻いたのだと感じました。
彼女曰く、「ゴミにだしても『ブンブン』音がすると回収してってくれへんやろで」だそうです。
現場を見に行くと、まだかなりの蜂がブンブンと飛んでいます。
残りの蜂ぐらいは、息子である私がやっつけようと、
ハエ叩きを握って立ち向かいました。
本隊と別動隊と巣の予定地に壊滅的なダメージを受けた生き残り組は、敵意丸出しです。
ハエ叩きでピシッピシッと打ち落とすのですが、
敵もさるもの全方向から攻撃してきます。
戦闘機に取り囲まれたゴジラな感じでしばらく戦っていたら、
顔を中心に狙われだしました。
耳に羽音が響きます。
後頭部に蜂が止まれば、ハエ叩きで後頭部を叩き、
耳に近づけば耳を叩きしていると、
自分の視界がぼやけているのに気付きました。
どうやら眼鏡を飛ばしてしまったらしいのです。
蚊取り線香の煙りの中で蜂と格闘しつつ、朦朧とする目で、黒い眼鏡を捜すのですが、
「見付けた!」と拾い上げても栗ばかりでした。
散らばった栗のせいで、足元もおぼつかなくなってきた時に、
母親が四本目のキンチョールを、私もろとも吹き付けて救出してくれました。
蜂と眼鏡と栗は相性が悪いようで。
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