照準二人
投稿日:2013/10/27同窓会の声かけをお願いする為に、
あまり付き合いの無かった同窓生二人、HとOを訪ねました。
今までどちらも「友人の友人」の立場で接した事しか無く、
10クラスもあるせいか、遊んだり、深く話し込んだりという絡みはありませんでした。
Hの母親が営む飲食店にお邪魔したのですが、
印象が変わらないHに対して、Oは丸々とでかくなった体型で現れました。
高校一年の時から体重が、二倍に増えたんだそうです。
つまり、計算上では高校一年のOが今では二人存在する訳です。
思わず『太ったなあ』と私が言うと、少し淋しい顔をして『痩せるよ、同窓会までには』と呟きました。
席に座ると、Hからガラス張り冷蔵庫の中の珈琲(無糖)を『ほい』と手渡されました。
Oには瓶ラムネを見せ、『お前こっち?』と言います。
缶コーヒーを飲みながら見ていると、Oは無言で首を振り、
『おっきいの』と呟きました。
Hは『じゃあコレか』とファンタオレンジの500?ペットボトルを取り出し、
Oもそれには納得した様子で『うん』と呟きました。
短く見える太い指で器用にキュイキュイキュイと蓋を開け、
小匙一杯ほどのファンタオレンジを口に含むと、
再度キュイキュイキュイと蓋を閉めました。
『一回にそんだけしか飲まんの?』と尋ねると、
『がぶがぶ飲むと太るから』と呟きました。
同窓会開催を知ってからダイエットを始めたとかで、
様々なダイエットに取り組んだんだらしく、
今は「グルテン抜きダイエット」を実行中なんだそうです。
『グルテン抜き?』と聞くと、
『うどんやパンを食べんようにしとる』と呟き、
『うどんやパンの話をしとったら、腹減った』と続けました。
Hと話をしているとOが名簿を見ながら、『Sさんか…』と呟きました。
Sさんは高一の時に私がフラれたクラスメイトです。
『Sさんがどうした?実は俺がフラれた娘やよ』と言うと、
『俺も好きやったけど、リサーチしたら彼氏がおったから何もしやんだ』と嬉しそうに呟きました。
しばらくすると今度は『Nさんか…』と呟きました。
Nさんは高三の時に私がつき合っていた隣のクラスの人です。
黙っていると『Nさんって娘がおってな、仲良くなりたかったわ』と、割りと大きな声で言います。
Nさんが私とつき合ってたのは、結構有名でしたので、これは茶化されてるんだと思い
『ほんまやな、俺も見てみたいわ』と言うと
『やよなあ』と返されました。
Hが『Oは昔からNさんエエって言うとるよな、彼氏おったハズやでー』と続け、二人が盛り上がりだしたので、
『それ俺やで!』とは言わずに、ファンタオレンジを飲み干した事を契機に帰りました。
それにしても、かつて私が好きになった同窓生は二人だけなのに、
そのどちらもOにロックオンされていたとは驚きました。
ああ見えて、案外気が合うんやないでしょうか。