小一之夢

投稿日:2013/09/15
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最近、年明けにやる同窓会の関係でかつての文集を目にする機会があり、
ふと自分が小1の時に書いた文集を思い出しました。
小1の二月、大好きな母方の祖父が亡くなりました。
漁師だった祖父には、色んな事を教わりました。
祖父にしても、私が初めて外孫でしたので、可愛がってもらってました。
初めて祖父の船で、釣りに連れてってもらった時には、
一学年上の従兄弟がアジやキスを釣り上げる中、
私は中々釣れずにいました。
やっと掛かったので、ウキウキしながらリールを巻き上げると、茶色いトゲのある不細工な奴でした。
祖父は「触るなよ」と言い、トゲをパキパキと折って海に捨てました。
アジやキスのキラキラ感に比べると、何ともやりきれない気分で凹む私に、
「立派なガシやのう、煮付けにすると一番美味い魚や、アタガシや」と言いました。
その日は一匹だけの釣果で帰ってきました。
元々、魚の煮付けは嫌いでしたが、走って持ち帰り、祖母に「ばあちゃん!ガシ、アタガシやって!煮付けにして!」とねだりました。
それ以来、全ての魚の中でアタガシが一番好きです。
執り行われる通夜や葬式の様子が、大好きな祖父との思い出も
絡んで私の中で大きな影響を与え、
その中心となるお坊さんにひどく目を奪われていました。
その後、三月に学校で文集を書くことになり、
お題が「将来なりたいもの」でした。
当時、私は特に将来なりたいものがありませんでしたが、
先日の出来事に強い印象を受けたお坊さんのことを思い出し、
お坊さんになりたいと文集に綴りました。

「僕は大人になったらお坊さんになりたいです。
金ぴかの座布団に座ったお坊さん、
木の楽器みたいなのを叩くお坊さん、
キンピカで輪っかのついた服を着てダミ声で喋るお坊さん。
そんなお坊さんになれたらいいなあと思います。」

しかし、私の生まれた地域ではお坊さんの事を皆、
「おっさん」と呼んでいます。
したがって私はその呼び名のまま文集にしたためました。

「僕は大人になったらおっさんになりたいです。
金ぴかの座布団に座ったおっさん、
木の楽器みたいなのを叩くおっさん、
キンピカで輪っかのついた服を着てダミ声で喋るおっさん。
そんなおっさんになれならいいなあと思います。」

とりあえず今、おっさんにはなりました。


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