揚鶏肉片

投稿日:2013/01/19
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コンビニの駐車場に女の子が一人でいました。
首から紐で財布をぶら下げ、手には赤い紙を持ってました。
買い物を済ませ外に出ると、店員がしゃがんで女の子に
「ファミチキはココには無いのよ」
と優しく話していました。
そのコンビニはファミリーマートではありません。
とうとう女の子は泣き出して
「ママがファミチキって」と繰り返すばかりになりました。
店員に聞くと、ファミマはその店の前の道沿いにあると教えてくれました。
「連れてったろか!」
「うん」の二つ返事で私が連れて行く事になりました。
車に乗せようとすると
「知らない人の車に乗ったらダメなんだよ」と諭されましたので、並んで歩き出しました。
ファミマまでは400メートルはあります。
遅れがちな歩幅に合わせて歩きますが、
花壇を見ては「はなー」とかカレー屋の前で「この辺臭いー」等と、無駄口が多くて進みません。
赤い紙を見せてもらうと、折り紙の裏に鉛筆で地図が書いてあり、
母親らしい携帯電話の番号があったのでかけましたがルス電でした。
首にかけてる財布を「ママが作ったん」と自慢されながら歩きます。
へたりそうな女の子に「もうちょっとや、ガンバレ」
「看板が見えてきたぞ」
と励まし続け、ようやく到着しました。
ファミチキをお菓子コーナーで探しているので、
「ココやぞ、『ファミチキ下さい』って言いな」と指示し
「いくつ?」
「5歳」
「ちゃうがな、何個買うかや」の掛け合いをしていると、
女性がコチラを睨んでました。
その人に女の子が「ママ!ちゃんと一人で来れたよ」と駆け寄り、二人の旅は終了しました。
帰りは小走りで帰りました。

その夜、彼女らの「初めてのおつかい」をぶち壊した事に気付きました。


カテゴリ:出会い