文子文子

投稿日:2011/03/17


マッシュは大丈夫なのかと皆さん気になっていると思います。
マッシュとの出会いは高校一年の時、場所は野球部の部室でした。
他のメンバーより一週間遅く入部した私、着替えていますと「おおおお前ってさ、ぞぞ象さんに似とるよな」と小さい男、そいつがマッシュ。
当時の私は、リンゴこそ好きでしたが鼻が長い訳でもなく、耳で空を飛ぶ事も出来ない象度0のしがない男の子。頭の中でクエスチョンマークが点滅しました。
黙って見ているとマッシュの後ろにいた前田が「ぞーおさんぞーおさんおーはながながいのね」と唄いだしました。
何にせよ、この状態は馬鹿にされているなと感じた私はマッシュの胸ぐらを掴んで壁に押し付け罵倒しました。
同期や先輩から力ずくで引き離された後も蹴ったりしました。
それがファーストコンタクト。
マッシュは隣のクラスでした。よくマッシュの教室に行ってダラダラと話をしていました。と、周りのメイト達は粗暴な私を避けてかなりの距離を取ります。やがてマッシュ自体も距離をとられる様になりました、知らんけど、なったとの事です。
そんなマッシュがクリスマス前に恋をしました。同じクラスのSという可愛いと評判の人で競争率はかなり高めです。
部屋で盛り上がっている時にそれを聞いた私は、電話ボックスへと二人で向かいました。「こんな事は先手必勝やからな」「でででも俺、きききちんと話もした事ない」「ええからええから、まずは俺が切り込んだるわ」等と話ながら。
名簿で自宅の電話番号を調べて準備万端です。
Sさんの下の名前は文子と言います。作戦としてはまず私が電話をかけて「夜分にすいません、隣のクラスの者ですが、ふみこさんお願いします」と呼び出してからマッシュに担当を代わり、直に思いを伝えさせる流れです。
電話はすぐつながりました。
「夜分にすいません、ふみこさんをお願いします」
「…」
「もしもーし、Sさんのお宅ですよね?ふみこさんに大事な話があるんでちょっと変わって欲しいんすけど」
「…あの…」
「あ、ひょっとして本人かな?」
「…ええ」
「同じクラスにマッシュておるやろ、そいつがふみこさんに言いたい事があるもんでさ!悪いけど聞いたって!ほな俺代わるから」
マッシュに受話器を渡しました。
離れた所で待ってました。
マッシュがトボトボと近づいてきます。
「お疲れ、アカンかったんか?しゃあないしゃあない」
「…いやあ」
「又今度もっと可愛らしい子を紹介したるわ、もうええやんけ」
「…ふみこやなかった」
「は?」
「…名前違うって」
Sさんは文子と書いてあやこと言う名前やったみたいです。
「名前も知らない人と話せません!」
私は告白する前にフラれる人を初めて見ました。
告白する相手の名前を間違えたマッシュの噂は瞬く間に広まり、卒業まで一度も彼女はできませんでした。
そんなマッシュですから今回も大丈夫だと信じて見守りましょう!







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