浮沈艦男

投稿日:2011/04/21


(昨日の続きです)
入場が始まり列が前進しだしました。そのマフィア男は大分、あとの入場番号だったので私は「じゃあねーまたねーお互い楽しもやねー」と言って別れ、先に会場に入りました。
ワクワクしてステージ前で待ってました。
ふと後ろを見ると後から会場入りしたマフィア男と目が合いました。
なんせ、でかい上に周りに人がいなくなる性質があるのですぐに見つけるのです。
「ヒューヤー!」と雄叫びをあげて近寄ってきました。片手にまたまたビールを持っています。
私の周りにギュウギュウにいた他の観客は、やっぱり十戒ってな感じでスペースを作りました。
「ワタシココイル、アナタヨイカ」「かまへんよ、おれさ」「イルヨー」「声でかいなー」「カラダモデカイネ」「外人がクロマニヨンズ好きって変わっとんなあ」「ハイロウズ(前身)モスキデスネ、iPodマンタンネ」「知らんがな」
話の流れで頭を叩いてしまいました。
「ウィーー!!」テンションが上がったマフィア男は声がさらにでかくなり、ついにまだライブが始まっていないフロアで踊りだしました。ハゲたスタンハンセンが場外乱闘をしているみたいでした。踊りながら、アメリカから八年前に来た事や名前はクリスという事等を教えてくれました。
「アメリカ代表はクリース!日本人負けんなよー!」と他の観客に叫んであげると大はしゃぎして何かをアピールしていました。
ライブが始まるとクリスは案の定、すぐに酸欠状態になり、黒コートも汗でびっしょりになりました。
四曲目でさすがに見かねた私は「おいクリス!暑苦しいからそれ脱げや」と言うと、コート・カッターシャツ・Tシャツを脱ぎフロアで只一人の裸になってしまいました。
Tシャツを頭の上で振り回してジャイアンツの応援団みたいになってます。
私は「白人は背中の毛も金色なんやな」と呟きライブに集中しました。
ライブ終了後、踏まれてボロボロになったクリスのコートとカッターシャツを見つけてあげて手渡しました。
「ユーアーソークールアンドキュート!」
茹でタコと化したクリスと握手して別れました。
会場横に黒塗りのリンカーンが横付けされていました。裸のクリスが荷物(コート等)を助手席にいた若い衆に渡した後、後部座席に乗り込んだのが見えました。
若い衆は黒スーツにサングラスでドアを音がしない様に閉めます。
私はライブ前に「お前仕事なんやっとんの?」の私からの質問に、気まずい顔で「ニホンゴムツカシイネ」と言っていたクリスの顔を思い出していました。







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