鶏前半戦

投稿日:2011/12/22
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小学一年の時の事です。
さんざん親にねだって、夜店でヒヨコを二匹買ってもらいました。
帰りの車では、ケーキ箱の中で「ピヨピヨ」と小さな声で鳴いてました。
我慢が出来なくて、何度も隙間から様子をうかがいました。
細い足をプルわせながら、必死にバランスをとろうとしてました。
ふわふわの毛も震えていました。
「寒いんかな」と聞くと、
「怖がっとるんやわ」と親が言いました。
『そんな怖がらんくてもエエよ、これから何があっても俺が守ったるわ』と心の中で呟きました。
するとヒヨコ二匹は震えるのを止めて、私の方を見ました。
そして安心をしたのか小さなフンをしました。
テレパシーが通じたのだと私は満足して、ケーキ箱をソッと撫でました。

自分の部屋で、段ボール箱に新聞紙を敷いてヒヨコを飼いだしました。
夜は寒いだろうと、白熱灯を近くに置きました。今思うと、さぞや眩しかったろうと思います。
水を飲む時に『クチバシに水を乗せつつ上を向く』という仕組みに大爆笑しました。
私に一番なつきました。
友達や従兄弟が遊びに来ると自慢してました。
ヒヨコはいつまでもふわふわのヒヨコではありません。
すぐに固い羽が生えて、鳴き声も「コッコッ」に変わります。
オスとメスで買ったハズなのに、両方ともメスだと解りました。
その頃から段ボール箱から脱走して、その辺にフンをしはじめました。
やがて家族から部屋で飼う事に対してクレームが出はじめました。
私が裏庭に鶏小屋を作る事態になりました。
金網や板を切り、釘で打ち付けての作業です。でかいプラモデルを作ってる感覚でしたが、後半は半泣きでした。
ノコギリやトンカチを下手くそなりに駆使しながら、やがて使い方を覚えました。
小屋が完成して、別居生活のスタートです。
(明日に続きます)


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