古文先生

投稿日:2013/07/20
kanpyou.jpg

22年振りにS先生と会話をしました。
高校2年の時に、古文を習っていた若い女性の先生です。
湘南爆走族の江口の恋人の津山さんに似てました。
ストレートの長髪と眼鏡と高い身長で、男子生徒からの人気は絶大だった様に思います。
特に男子限定クラスの通称「男(ダン)クラ」での熱狂振りは引く程で、
授業前のトイレは、おめかしに励む馬鹿達で混雑していました。
年寄りの多い教師陣の中で、唯一の若い女性教師な上、綺麗で優しい先生でしたので、仕方ない事でしょう。
授業での「いとおかし」やら「レ点」やらは、コチラの頭の都合上全く面白くはありませんでしたが、
蛍が飛ぶ所を知ってる話をされた事を覚えています。
どういう流れでかは忘れましたが、授業中のこぼれ話の中で、
先生の家の近くに蛍が舞い飛ぶ小川があり、
小さい頃から毎年その蛍達を眺めるのが好きだと言ったのです。
「見てみたい」と呟いたある女生徒に「案内してあげる」と返す先生。
私も「俺も見たい!Sちゃん案内してや!」と声をあげました。
女生徒は「私は遠慮します」と小声で言い、変な空気のママ授業が再開されました。
授業が終わり、逃げるように職員室へ帰るS先生。
私は職員室の中へ入ってS先生に「Sちゃん、で、どこで待ち合わせすんの?」と聞きました。
S先生は私の袖を掴んで廊下へ連れ出し
「○○君さあ、あんな可愛い彼女おるのに、悲しませたらダメ」
と諭してきました。
当時の私の彼女もS先生に古文を習っており、
単純に蛍の乱舞を見たかっただけの私は驚きましたが、
何故か一人の男として扱われた気がして
「せやな、ほな止めとくわ、又来年かなあ」
と答え
「またまたーお幸せに、場所教えようか?」
「ええわー」
で終了しました。
S先生が職員室に入る扉を開けると、独身の男性教師数人が、聞き耳を立てているのが見えました。
学校では「私がS先生を職員室で口説いたが断られたらしい」の噂が流れました。
それから二年後、S先生はお見合いで結婚されて教師を辞めたと後輩から聞きました。
先日、卒業名簿で先生の実家に電話をかけてみると父親が出て、
「教え子の○○です」と名乗ると、今日たまたま30分後に帰ってくるからと教えてくれました。
再び電話をかけるとS先生が出ました。
「○○君?何年振り?元気?覚えてるさー顔も解るよー野球部やったよねー私?49才九つ上、今?宇都宮に住んだり海外に住んだりして、今年の3月に三重の四日市に住みだしたん、旦那?そうそう彼の仕事の転勤で、子供?医大を目指して只今勉強中」
と昔よりよく喋ってました。
「蛍は見てるのか?」の質問には「来年こそ」と答えました。


カテゴリ:同級生