麻雀物語

投稿日:2013/08/15
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部屋に友人のSが、居候していた時の出来事です。
Sは総額500万円オーバーの真珠を鞄に詰めて、
デパートに売り込む為にやって来たのですが、
結局一つも売れずに、そのまま何ヶ月か住んでいました。
深夜に私がアルバイトから帰宅すると、
テレビを見ているかスーパーファミコンをしていました。
ある日Sが「麻雀大会に二人で出場する」と宣言してきました。
聞くと、深夜の麻雀番組で参加者を募集していたので、
私の分も申し込みをしておいたとの事でした。
地方大会を勝ち抜くと、仙台での全国大会へ行ける上に、
全国大会で上位に入ると、
結構な賞金が貰えるんだそうです。
「只で旅が出来る」と恩返しを兼ねた気分のSは「仙台は寒いから、上着を買わないかん」と既にウキウキでしたが、
私は麻雀をやった事がありませんでした。
未経験の旨を伝えると、翌日に中古の麻雀ゲームのソフトを購入してきており、
その夜から特訓が始まりました。
地方大会は一ヶ月後でしたので、まずはピンフとタンヤオに絞っての猛特訓です。チーを覚えたのは当日の朝でした。
会場の雀荘に行くと、二百人近い選手が並んでおり、
各々座る雀卓のクジを引いて対戦相手を選ばされました。
その時点まで、二人が同じ卓で参加すると思っていたのです。
私の卓は雀荘経営の女主人・自称麻雀プロ・介護施設で麻雀を覚えたお爺さんが相手でした。
上位二名が二回戦進出のルールでスタートです。
特訓のゲームでは自動で行われる、サイコロの振り方や、親の決め方、牌の取り方が全く解らない状態で、無我夢中で闘いましたが、
残念ながら、その参加卓で三位で一回戦で脱落でした。
一位は雀荘ママ、二位は自称プロで、その二人が二回戦進出です。
競技中に袖を引っ掛けて、牌をパタパタ倒す私なんかに負けたお爺さんは、心底悔しそうで
参加賞も忘れてそそくさと帰ってしまいました。
Sは三回戦で敗退しました。
家路に着くとSは「働くわ」と呟き、ソフトを手土産に持って実家へと帰りました。
それ以降、麻雀はやってません。


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