超能力者

投稿日:2012/10/11
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超能力者、というのは本当にいるのかどうかは分かりませんが
筒井康隆の小説では、本当の超能力者は自分の正体を隠すのが基本のようです。
心の中を覗けるのも、念力で色んな事ができるのも、
知られてしまったら国が放っておかないだろう、という考えだからです。
私にはそんな能力はもちろんのこと備わっていませんが、
もし自分に力が与えられるとしたら、自分の思うようになるような
そういった能力だといいものだな、とこないだ思いました。
道路を車で走行していると、色んな運転手に出会います。
自分の後ろに位置する車は、車間距離を狭く取るのが俺流的に
ガンガンくっついてくる人や、よくよそ見をして走る人、すげー熱唱している人。
後ろに対しては「オカマ掘られ注意」を意識して走る、または
あんまり嫌な走りをしてきたら先に行ってもらえれば済む話です。
しかし、前を走る車ですとそうもいってられません。
ヨタヨタと蛇行しながら走る軽トラには大抵爺さんが乗っています。
隣の友達と話すのに夢中な彼女は、速度に極端なバラツキがありイライラします。
そういった車は、前を走る以上どうしようもなく、
ゆずり車線などに運よくどいてもらったら、まだラッキーな方です。
先日も所用で片道2時間の場所に行くこととなりました。
最初は何事もなくスムーズに流れていきましたが、
目的地まで約1時間地点の時に、その車と出会いました。
常に右ひじを窓につき、頬杖をついている格好で運転するその人は、
訳のわからないところでブレーキを踏みます。
時々、なぜか大きく左側ギリギリまで寄り、私の肝を冷やします。
基本的に低速度での走行ですが、急に速くなったりします。
「ものすごく走りにくいな」と思いながらも、その内違う方向へ行くだろうと思っていました。
しかし、行けども行けども同じ方向に進んでいきます。
私は念力を送りました。
「そこを曲がっていけ」
「コンビニにいけ」
「パチンコをしろ」
「美容院にいけ」
「喫茶店でコーヒーを飲め」
通過する曲がり角、通過する店毎に念力を発していましたが、
全く伝わることがありませんでした。
信号で止まった際に見ると、大口を開けて何やら歌を熱唱していました。
それでもめげることなく、色々な場面で念を送りましたが、
結局その車と別れたのは目的に到着5分前でした。
自分の思い通りになったらな。
世界中の人の切なる願いですね。


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