背広皇帝

投稿日:2012/08/27


南極の動物の番組がやっていました。
たまたまチャンネルを変えていたら、画面にペンギンが多数映し出されていました。
何となく見始めると、どうやらペンギンの子育て模様を伝えているようです。
そこに出ていたペンギンは皇帝ペンギンという種類で、
子供のころに思い描くペンギン像をそのままビジュアル化した、
ザ・ペンギンという感じの風貌です。
彼らの子育てはオスが受け持つのだそうです。
相手を見つけ、卵を産むとメスは卵から孵る我が子の為に、
3ヶ月間外海へ行き、食料を体に蓄えに出かけます。
その間、オスが足の上に卵を置き、
ちょうど人間で言う股間あたりで卵を温めてメスの帰りを待ちます。
飲まず食わずでマイナス40℃の南極で、それこそ身を寄せ合ってじっと耐えるのです。
素晴らしい姿だと思います。
ただ、皇帝ペンギンの配色がちょうどスーツを着たサラリーマンぽいので、
身を寄せ合う姿は、満員電車の車内風景のようにも見えます。
身を寄せ合うということは、必ず外側に位置するペンギンもいるわけです。
しかし律儀に彼らは、少しずつ移動しながら外側のペンギンが徐々に
真ん中に入るように交代でポジションを変えていくのです。
それもまさに満員電車で出る客と入る客とのポジションを、
誰も指示しないのにうまいこと納めようとする姿にも見えます。
そしてすべてのペンギンは下を向き、吹き荒れるブリザードに耐えています。
全員が肩を落とし、何やら落胆しながら耐え忍ぶ姿には世の中のお父さん達は共感せずにいられないことでしょう。
そして3ヶ月後、メスたちが帰って来ました。
たくさんのオスたちが声をあげて迎えます。
そして股の間で大事に温め、卵から孵った子供を対面させます。
メスは同じように股の間に子供を収納し、体に蓄えた餌を与えます。
その時点から、子供はもうお母さんっ子です。
そしてオスはようやく海へ行くのですが、餌を獲る前に力尽きてしまうこともあるそうです。
もう、お父さんは涙なしには皇帝ペンギンを見ることはできないでしょう。
私は心から両者にエールを送ります。 「ファイです!」
カテゴリ:出会い