今年漢字

投稿日:2012/12/22
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どこかの寺で、毎年「今年の漢字」を発表しています。
今年は「金」でした。
去年が何だったのかは、すでに忘れてますが、
干支と同じく時節物ですから、忘れて当然なのでしょう。
楽しみ待つ酔狂な人がいるんでしょうから、発表にとやかく言うつもりはありません。
しかし、そこから発展させた
「あなたの今年の漢字は?」と聞いて「○です」と答えるミニ寸劇は、
何度見ても不快になります。
そもそも、質問に対しての答えが正解かどうかは、本人にしか判断できませんし、
質問者側が納得したとしても「なるほど、トンチが利いてるね」のレベルは抜け出せません。
解答した後に「今年は○○をしましたから」と説明をしだすのも、笑福亭鶴瓶っぽいまどろっこしさを感じるのです。
産まれたばかりの赤ちゃんが答える「生」「産」「出」や
死んだばかりの人が答える「死」「滅」「痛」ならば、
少しはいらつきも軽減されるでしょうが、トンチは勘弁なんです。
人は産まれて死ぬまで、色んな流れで生きていきますが、
「生」と「死」は誰もが経験するにも拘わらず、
当事者のコメントはありません。
そこで『「産」やら「滅」やらですよ』と教えてもらえると
「やっぱりか」と納得できるからです。
端的に言うならば「お前らの今年に興味なんてねーよ」となるのでしょう。
それに、「たった漢字一文字で表現される一年ってどうなんだ」の思いもあります。
例えば私が八十歳で死んだとして、私の人生を表現するのに、
「生」「立」「食」から「病」「痴」「死」と八十文字で語られるのは嫌なのです。
そんな私の思いをよそに、どいつもこいつもが「私の今年の漢字」を聞きたがり喋りたがりの風潮は、
来年再来年も未来永劫に続いていくのでしょう。
そんな私の今年の漢字は「紙」でした。


「上記の文章で筆者が何を伝えたかったのかを漢字一文字で答えなさい」


カテゴリ:企画会議