鍵零零二

投稿日:2011/07/25


「ワシの002の鍵が開かん!」
温泉の着替えるスペースのコインロッカーの前でとある親父が騒いでいました。
大声に慌てた店の人がやって来てマスターキーで開けようとしますが噛み合わせが悪いらしく中々開きませんでした。
入れ替わり立ち替わり、のべ三人のスタッフがやって来ますが、皆が太刀打ちできずにいました。
親父は今から風呂に入る様でした。入浴中に必要な何か大切な物を忘れたみたいです。途方に暮れた様子で全裸でロッカーの前に座り込みを決めてました。
らちの開かないスタッフは協議の結果、遂に鍵を壊す事にしたみたいです。
ハンマーやらペンチやらを持ち出してカンカンと鍵を叩いています。
しばらくして鍵部分を全部壊す事に成功しました。
ポッカリ開いた鍵物故から指を入れて何やらガシャガシャやると、開かずのロッカーがようやく開きました。
椅子から立ち上がった親父は満面の笑みです。
ロッカーを覗き込む親父、衝撃の一言を言い放ちました。
「ココと違うなあ」

慌てた店の人が親父の鍵を確認すると、悪戦苦闘していたロッカーナンバー002では無く020でした。
茫然としている三人のスタッフを尻目(全裸だから)に020のロッカーを易々と開けた親父。
中へ装着していた入れ歯を保管した後、悠々と扉を開け湯舟に向かいました。
湯舟からは親父の鼻唄が響きます。
残された三人のスタッフは支配人らしき人から「きちんと番台を確認しなさい、基本でしょ!」と並んで怒られてました。
カテゴリ:出会い