上司転勤

投稿日:2013/05/05
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私の直属の上司は女性です。
普段からバリバリ仕事に打ち込んでいて、
社内の立場やクライアントからのも人望も厚い方です。
何ヶ月か前に、その方にハワイ転勤の辞令が下されました。
当然ながら部署内は大騒ぎでしたが、
我々が反対するのもおかしな話ですし、
何よりも本人がチャンスと捉えてやる気になっていましたので、
やがては応援ムードに変わっていきました。
社内外への引き継ぎ業務もほぼ終わり、
彼女もハワイでの生活基盤の準備の為に、何度か現地を訪れていたみたいです。
今までほとんど休みらしい休みを取らずに激務をこなしていたので、
有給休暇を利用しながらバケーション気分を味わってるみたいでした。
日焼けした顔でフラッと会社に立ち寄っては、
後任者に優しくカツを入れたり、お土産をくれたりもしました。
やがて会社全体で送別会が行われ、
同じ部署の彼女に憧れていた同僚のAが酔った勢いで経営陣に絡みだしました。
彼女はAを一喝し、廊下でコンコンと何か話をしていました。
泣きながらウンウンと頷くAの寂しそうな後ろ姿を見て、ちょっぴり羨ましく思ってる自分に驚きました。
結局Aはお咎め無しで、それまで以上に仕事に打ち込みだしたのですから、
彼女がどんな言葉をかけたのかは解りませんが、
大したものです。
彼女がハワイへ行く前日に、経営陣から私に呼び出しがありました。
応接室に入ると社長が、
「君ねえ、ハワイへ行ってもらうから」
と私に言い出しました。
「え?○○さんが行くんじゃ…」
と言いかけると、社長は立ち上がり窓際に近寄ってブラインドを指で少し開けて
「○○君に、赤ちゃんができたんだ」と言いました。
「喜ばしい事なんだが、会社としては途方に暮れている」
社長は私を見下ろして続けます。
「どうか変わりに行ってはくれぬか!」
「…解りました。いつからでしょうか?」
「今からだ」
「今?」
「飛行機のチケットは取ってある」
私はたちまち機上の人となり、時差の関係で正しく当日の朝にハワイ支社で挨拶をしました。
「英語は喋れませんが、よろしくお願いします!」
まばらな拍手で目が覚めました。

私は疲れてるんでしょうか?


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